心理学研究法研究会
趣旨
方法(method)は常に目的(purpose)に沿って選ばれるべきものである。
どのような学問であっても目的があり,そのために方法を取捨選択すること,
あるいは新たに編み出すことを行ってきた。
心理学においてもそれは同じである。
歴史上,心理学と呼ばれたことのある学問だけを並べてみても,
様々な方法が用いられてきたことがわかる。
そしてそれらは各々,心についての何らかの哲学的立場に裏付けられたものである。
しかし,現代の若い心理学者たちはこのことを往々にして認識していない。
加えて,心理学者が用いている多くの方法はその正当化において心理学以外の分野の理論にも依拠しているはずだが,
それら他分野の理論との整合性や依存性について十分吟味し自覚されているとは言い難い。
それどころか心理学内の整合性すら危ういと言わざるを得ない。
これらはもちろん深刻な問題ではあるが,認識不足を非難するだけでなく,
なぜそうなったのかについて考えることが重要である。
また,統計学が文法となっている現在の方法論において,
統計学のHow Toユーザが増え,それを嘆く声がしばしば聞かれるようになった。
どのように統計学理論の前提や一貫性を無視しているかを指摘するのはそれなりの意義があるが,
これについてもどうしてそのような事態になっているのかを考えなければ,根本的な解決にならない。
統計学もまた目的を達するための手段の一つに過ぎないはずであり,
マニュアル化された手続きに無根拠に従うのでなく,
研究目的に照らし熟慮して道具箱から使う道具を選び出す(時には道具を自分で作る)姿勢づくりを目指したい。
この研究会では現在の心理学研究における科学的な方法論を学び,方法論的概念を再考,再確認する。
その目的は「実際のところ我々はいま実質的に何をやっていて,このやり方では何ができて何ができないのかをきっちり把握する」ことである。
さらに発展として,現在の心理学者たちはいわゆる「心の哲学」として(自覚の有無は別として)どういう立場を取っているのか,について議論する。
開催状況
毎月いずれかの土曜日に,京都大学(またはその周辺)にて開催しています。
現在,参加者の顔ぶれは,超若手の研究者たちです。主に心理学者です。(年長者お断りではありません。ときどき参加されます。)
扱っている内容は,下記の履歴を参照してください。大抵は議論三昧です。
今後の予定
毎月,会の冒頭にアナウンスしています。
ML でもリマインダーを兼ねた案内を送っていますのでそちらをご覧下さい。
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履歴 2011
第63回 2011-06-04
テーマディスカッション:「主観と科学と心理学」
業界では「主観」と「科学」と「心理学」の三者の共存は不可能だとする意見が散見される中,
どのようにバランスを取れる可能性があるか(あるいは無いか)を議論した。
結果として,同じように「主観」という言葉が使われる対象のそれと研究者のそれを区別し,
さらにそれぞれを2つに分け,計4つに分析されることにより,
主観と科学と心理学は仲良くやっていける道があるという結論で満場一致。
第62回 2011-05-07
テーマディスカッション:「多重検定とfamily」
多重検定 multiple testing の問題は,
多重比較 multiple comparisons など一部の文脈では必須扱いされる一方,別の文脈では完全に無視されている。
計画的 planned / 非計画的 unplanned と呼ばれる区別と,仮説族 family の点からこれを議論する。
会で提案された,まともそうな将来の方向性:
- 全部を family にする
- 1 family = 1 比較 にする(多重検定の調整などしない)
- ベイジアン
第61回 2011-04-02
テーマディスカッション:「行為同定」
心理学における理論や仮説にて,説明項,被説明項として頻出であるが非常に怪しい "行為" action について,
今回は行為の同定 identification からその怪しさを探ってみる。
非常に難しい問題であるが,難しいということすら多くの心理学者には認知されていない。
第60回 2011-03-19
テーマディスカッション:「Psychometric Measurement 心理計量」
Judd & McClelland (1998) の後半を題材に,いわゆる "psychometric measurement" とはどのようなものか,について議論した。
さらに,axiomatic measurement との差異,そして両者の関係性について議論した。
関係性はまだまだ未開拓領域。
第59回 2011-02-05
テーマディスカッション:「チューリングテスト」
人工知能学会誌での特集をうけてタイムリーネタ
議論のポイント:
- そもそもチューリングテストとはどのようなものか,イミテーションゲームと標準解釈
- チューリングテストは知能,精神,○○のテストとして妥当か
- チューリングテストは研究デザインとして見たとき妥当か
- 中国語の部屋やブロックヘッドはまともな反論か
第58回 2011-01-08
テーマディスカッション:「第五回 心理学とは何を目指す学問か」
毎年恒例,年始め激論大会
- 哲学者の立場から,心理学が目指しているように見えること,目指して欲しいこと。
- 研究対象の同定が素朴概念に依存してしまう問題。
余談: 長期的にどうすればテレビにでてるアレなカガクを減らせるか
履歴 2010
第57回 2010-12-04
テーマディスカッション:「社会心理学における測定」
FoM読書会での公理的測定論の勉強成果を踏まえて。
心理学や社会諸科学には,測定に関する2大潮流がある。
1つが公理的測定 axiomatic measurement ,もう1つが心理計量学 psychometrics 。
公理的立場ばかり紹介していてはバランスが悪いので,心理計量も取り上げなければということで,
両者をあわせて載せている希少な文献を探して,これらの違いや関係について,そして将来の方向性について展望する。
前半のみ。
第56回 2010-11-06
テーマディスカッション:「高次」
「高次」という用語が関連分野で広く使われているが,この用語の定義が書いてあることはまずない。
しかし一方で,この語は日常語ではなく明らかに専門用語である。
我々の分野で「認知」などを修飾するこの「高次」というやつは一体何を意味しているのかを議論して明らかにしてみたい。
- 「高次」の語の意味として間違っていないかどうか
- ある特定の場面で使われているのはそれらのうちのどの意味なのか
- 意味の背後にどのような assumption があるのか
- ある意味が別の意味を含意する関係になっているのか
- 特定の意味について,より良い代替の用語があるのか
- どのように語用の改善が可能か
結局,1ダース以上の区別される意味が挙げられた。
第55回 2010-10-02
テーマディスカッション:「傾向スコアと因果」
因果関係の推定の目的で使われることの多い統計手法「傾向スコア (propensity score)」を取り上げ,
その特徴と,背後にある考え方を議論したい。
我々の仕事で因果関係について主張する場面は多々あるが,その根拠とする方法は1種類ではなく,多様にある:
そしてそれらの背後に,「因果」に対する考え方・捉え方の違いが隠れているかも。できることなら,それをあぶり出してみたい。
日心2006シンポ
の宿題,最後の1つ,ようやく。
第54回 2010-09-04
テーマディスカッション:「意図の科学的研究」
現在の基礎的心理学においては,大きく2つの流れにおいて意図という用語が扱われている:
- 行為プロセスの研究における「意図」
- 心の素朴理論の研究における「意図」
生理学的アプローチや作動記憶メカニズムとのつながりで研究されているのが主に前者。
それ以外にも,意図に関係する心理学の研究分野はいくつかあるだろう。
意図の研究においても具体的研究方法は多様だが,「意図」の多様性に起因する部分が見られるので,
まずは意図概念をクリアカットする。意図性(intentionality)や,意志などの似た概念(will, volition,
determination, decision, etc.)との区別も意図を際立たせるのに有効かも。
主な論点:
- 意図とは何ぞや?
- どうすれば(どんな条件を満たしていれば)意図を"科学的に"研究できるのか(研究したことになるのか)?
- 実際に用いられている研究方法は,それで十分なのか?足りない点があるとすればどこか?
Foundations of Measurement 読書会 第6回 2010-08-07
第4章 Difference Measurement 中盤
担当: 中西
第53回 2010-07-03
テーマディスカッション:「生理指標と心理学」
- ある分野でのある目的でのある生理指標の使用は,どのような理論的背景(特に心との関係に関する存在論的背景)を
持っているか?
- その生理指標はどのような測定を前提しているか?
- 探求の観点から見て,その生理指標は適正に使用されているか?適用限界はどこにあるか?
1ダース以上の指標例から主に3つ。
Foundations of Measurement 読書会 第5回 2010-06-05
第4章 Difference Measurement 前半
担当: 中西
第52回 2010-05-08
テーマディスカッション:「身体化」
- 身体化,身体性 (embodiment) ってそもそも何?6つの主張に分類
- 身体化テーゼを含む理論とそれまでの理論との差異はあるのか
- 身体化テーゼを含む理論の検証方法
第51回 2010-04-10
テーマディスカッション:「直観」
- 分析哲学における「直観」
- 高次認知の心理学における「直観」
- ユング心理学における「直観」
- lay person vs. expert
Foundations of Measurement 読書会 第4回 2010-03-13
第3章 Extensive Measurement 後半
担当: 常深さん
第50回 2010-02-06
テーマディスカッション:「空想と現実の区別」
- ハリーポッターとリンカーン,織田信長と石川五右衛門と金田一耕助
- 間接的知識の問題
- 社会的合意性判断,信念分布判断
- ソースモニタリング
第49回 2010-01-16
テーマディスカッション:「第四回 心理学とは何を目指す学問か」
毎年恒例,年始め激論大会
刀を返して「何を目指すのがよいか」
- 市民から何が期待されているか
- 自分は昔何を期待していたか
- 素人の期待と玄人の期待
履歴 2009
第48回 2009-12-05
テーマディスカッション:「記憶理論とその検証法」
Foundations of Measurement 読書会 第3回 2009-11-07
第3章 Extensive Measurement 前半
担当: 常深さん
Foundations of Measurement 読書会 第2回 2009-10-03
第1章 Introduction 後半
担当: 中西
- 弱順序構造[weak order],等間隔加法コンジョイント構造[equally spaced, additive conjoint structure]
- 公理化と公理系の特徴
- 公理の経験的検証
Foundations of Measurement 読書会 第1回 2009-09-05
第1章 Introduction 前半
担当: 中西
- 3つの基本手続き: ordinal measure, counting of units, solving inequalities
- 表現定理[representation theorem]と一意性定理[uniqueness theorem]
第47回 2009-08-08
研究法の教え方:「素朴集合論」
参考文献
- 内田伏一 (1986) 数学シリーズ 集合と位相. ISBN:478531401X
教官: 近岡さん
第46回 2009-07-04
テーマディスカッション:「マルチレベル分析」
- マルチレベルモデリングと推定法おさらい
- 階層構造を持つデータの心理学での出現地帯と,それらデータに対するマルチレベルモデルの適用可能性,および必要性
- シンプソンのパラドクス
- どんな場合に,集団での効果と個体での効果を区別する必要があり,どんな場合にこれを無視してよいか?
- クロスレベル交互作用は何か心理学に新しい視点をもたらすか?
- レベルの存在論:レベルとは一体何なのか?
第45回 2009-06-06
テーマディスカッション:「メタアナリシス」
- systematic review と meta-analysis
- メタアナリシスは,正確には何をするのか?
- どこでメタアナリシスが希求され,どこでされないのか?
- 基礎研究とメタアナリシス: その必要性と重要性はいかほどか?
参考文献の一例
- Borenstein et al. (2009) Introduction to Meta-Analysis. ISBN:0470057246
- 丹後俊郎 (2002) メタ・アナリシス入門 エビデンスの統合をめざす統計手法. ISBN:4254127545
第44回 2009-05-09
テーマディスカッション:「イメージ論争は終わったか?」
- イメージ論争(imagery debate)は既に終わったのか?
- もしそうなら(或いは,そうでないのなら),一体何が問題だったのか?
- そしてどう解決したのか(或いは,解決していないのか,或いは,解決できないのか)?
どうなっていれば絵的表象と言えるのか?で白熱しました。
第43回 2009-04-04
テーマディスカッション:「理論とモデル」
文献に頻繁に登場してあまりに常識的(?)な用語「理論」と「モデル」について,
それらは何であり,相互にどういう関係にあり,また,心理学者の活動において
どのような位置づけにあるのか,を議論します。
- 理論とモデルの定義. 多義性? 下位分類?
- 理論とモデルは同じ? 異なるならどのように?
- 我々心理学者の目的に「モデル」や「理論」はどう関係する?
参考資料: 人工知能学会誌 2009年3月号 特集「認知科学におけるモデルベースアプローチ」
第42回 2009-03-07
テーマディスカッション:「帰無仮説有意性検定の問題点と対策」
NHSTのはらむ問題の解決策の1つとして,近年提唱された prep に焦点を当て,
- 帰無仮説検定にはどのような問題点があり
- prep はそのどのような解決になっているか
を議論しました。
また,prep の背後に隠されている Bayesian な立場も明らかにされました。
さらに話は Bayesianism の良し悪しにまでふくらみました。
そしておせっかいにも,伝統的 p value の生き残る道が模索されましたが・・・。
-
Killeen (2005) An alternative to null-hypothesis significance tests.
Psychological Science, Vol16, No5, pp.345-353.
-
Cumming (2005) Understanding the average probability of replication.
Psychological Science, Vol16, No12, pp.1002-1004.
-
Doros & Geier (2005) Probability of replication revised: Comment
on "An alternative to null-hypothesis significance tests".
Psychological Science, Vol16, No12, pp.1005-1006.
-
Macdonald (2005) Why replication probabilities depend on prior
probability distributions: A rejoinder to Killeen (2005).
Psychological Science, Vol16, No12, pp.1007-1008.
-
Killeen (2005) Replicability, confidence, and priors.
Psychological Science, Vol16, No12, pp.1009-1012.
-
Wagenmakers & Grunwald (2006) A Bayesian perspective on
hypothesis testing: A comment on Killeen (2005).
Psychological Science, Vol17, No7, pp.641-642.
-
Killeen (2006) The problem with Bayes.
Psychological Science, Vol17, No7, pp.643-644.
第41回 2009-02-07
テーマディスカッション:「積率構造分析と因果」
- いわゆるSEMは,つまるところ何を「分析」しているのか?
- SEMの問題点,その対策
- 「どうして」因果の方向性を統計で知ることはできないのか?
問題点と対策の一例として,ADF3 にフォーカスを当てました。
John Stuart Millの方法論や,原因の素朴概念の分析を参照して,因果究明の困難さのエッセンスと統計分析との関係を検討しました。
第40回 2009-01-10
テーマディスカッション:「第三回 心理学とは何を目指す学問か」
毎年恒例,年始め激論大会
心,行動
説明,記述,予測,制御
因果,機能,仕組み,メカニズム
共有性
履歴 2008
第39回 2008-12-06
第一回 数理表現トレーニング
研究の仮説やモデルを,自然言語ではなく数理的に記号表現できるようになるための,トレーニングセッション。
第38回 2008-11-08
研究事例検討:「信頼性,妥当性,有意味性」
実際に行われている研究についてその目的と手法に関する(主に方法論的)前提を議論します。
今回の事例題材は,SD法や態度尺度,場面想定法などを使った研究です。
主に信頼性,妥当性概念について実際の研究を例に検討します。
第37回 2008-10-04
テーマディスカッション:「多次元空間付置の手法と解釈」
-
多次元尺度構成法,主座標分析,主成分分析,因子分析,正準相関分析,対応分析など,
データから(教師なしに)1つ以上の次元を作り出しその上に対象を並べる(多次元展開法やバイプロットなら変数も並べる)
ための有名な手法がいくつかあるので,これらの手法を列挙して,統計学的な特徴(入力データの要件,最適化の基準など)を比較する。
-
それぞれの手法で得られた多次元空間は,心理学的にどのように解釈することが許されるかを検討する(例えば,その軸は一体何を含意するのか?)
第36回 2008-09-13
テーマディスカッション:「測定,テスト理論,必要な尺度」
item response theoryを題材にしながら,我々が測定したい関心対象に
応じてそれに最低限必要な尺度の性質は何か,ということを幅広い心理
学的対象を見渡しながら議論する。
参考資料: 岡本(2006)「計量心理学」第6章, 豊田(2002)「項目反応理論入門編」, 豊田(2005)「項目反応理論理論編」
第35回 2008-08-09
研究法の教え方 その2: 「統計的仮説検定 (statistical hypothesis testing)」
advancedな議論のキーワード:
- 中心極限定理
- 標準誤差
- 最強力検定
- Fisher vs. Neyman-Pearson
- 信頼区間
- 効果サイズ
- p rep
教官: 龍輪さん
第34回 2008-07-05
テーマディスカッション:「検出と弁別」
- 「検出」と「弁別」はどう異なるか,どういう関係にあるか?
- 検出力,弁別力を測るどんな方法がこれまでに開発されていて,それはどのくらい他の心理学的対象への転用の見込みがあるか?
- それらの転用を正当化できる心理学理論的・方法論的な基礎・前提は何か?
参考資料: 岡本(2006)「計量心理学」第2章, 第3章
第33回 2008-06-14
テーマディスカッション:「印象の強さの測定」
- 「印象 impression」の「強さ strength」を「測る measure」にはどんな方法がこれまでに開発されていて,
それはどのくらい他の印象(or 心理学的対象)への転用の見込みがあるか?
- また,印象の強さ測定以外で使われている方法が印象の強さ測定に転用できそうなものはあるか?
- それらの転用を正当化できる方法論的基礎・前提は何か?
参考資料: 岡本(2006)「計量心理学」第1章
第32回 2008-05-31
第三回 作図コンペ
作図のルール: 前2回と同様.
優勝: 常深さん
第31回 2008-04-05
第二回 作図コンペ
コンペを通して,より良い視覚化の技術を磨く。
作図のルール:
- データの持つ情報をできるだけ減らさない
- わかりやすく,見やすく
- 研究目的や予定している分析に沿う
優勝: 猪原さん
第30回 2008-03-01
第一回 作図コンペ
より良い視覚化を目指して,みんなで図を描き,相互評価。
作図のルールは
- ローデータの情報をできるだけ減らさない
- わかりやすく
優勝: 田村さん
第29回 2008-02-09
テーマディスカッション:「第二回 心理学とは何を目指す学問か」
今年もやりました,第二回。
盛り上がった論点:
- 予測力
- 説明された気分になる
- 心の定義は社会的合意
第28回 2008-01-19
研究法の教え方:「分布」
新企画,第4のコーナー。心理学の方法論的概念を初学者に対してどのように教えるのがより良いかを模索する。
今回は「分布」について。
教官: 常深さん
履歴 2007
第27回 2007-12-15
テーマディスカッション:「心理学的構成概念の測定」
EQD読書会を踏まえての議論第2弾。
心理学では,理論的構成概念を導入して,しかもそれを測定する,ということをやることが多いようだが,
どうしてそんなことができるのか,何かをある仕方で「測定」するというときに備わっていなければならない
のはどんな要件か,を議論します。
この要件には,generalなものから,前述の「何か」や「ある仕方」に依存するものまで含まれますが,今回は題材として
- Implicit Association Test
- Reading Span Test
- Critical Thinking Assessment (Watson-Glaser Critical Thinking Appraisal, Critical Thinking Attitude Scale)
の3種を題材にします。
第26回 2007-11-10
テーマディスカッション:「因果モデルの構成」
EQD読書会を踏まえての議論第1弾。
豊田さんの著書「共分散構造分析[入門編]―構造方程式モデリング―」の第9章「因果モデルの構成」を読んで,
思うところを述べ合う。
EQD 読書会 2007-08-22, 2007-08-24, 2007-09-01, 2007-10-13
Shadish, Cook, & Campbell (2001) Experimental and Quasi-Experimental Designs for Generalized Causal Inference
日 | 章 | タイトル | 担当者 |
8/22 (水) | 第1章 | Experiments and Generalized Causal Inference | 龍輪 |
第2章 | Statistical Conclusion Validity and Internal Validity | 唐牛 |
8/24 (金) | 第5章 | Quasi-Experimental Designs that Use both Control Groups and Pretests | 猪原 |
第7章 | Regression Discontinuity Designs | 常深 |
第9章前半 | Practical Problems 1: Ethics, Participant Recruitment, and Random Assignment | 野村 |
9/1 (土) | 第9章後半 | Practical Problems 1: Ethics, Participant Recruitment, and Random Assignment | 野村 |
第3章 | Construct Validity and External Validity | 唐牛 |
第11章 | Generalized Causal Inference: A Grounded Theory | 田村 |
10/13 (土) | 第10章 | Practical Problems 2: Treatment Implementation and Attrition | 野村 |
第14章 | A Critical Assessment of Our Assumptions | 中西 |
第25回 2007-07-14
テーマディスカッション:「線型モデル」
心理学で最も頻繁に適用されている統計モデルである線型モデルについて,
その適用可能性と効用,限界を議論する。ここでは,最狭義のいわゆる線型モデルだけでなく,
一般化線型モデル,線型混合モデル,共分散構造モデル,ARMAモデルなども議論対象に含める。
- 各々の統計モデルについてそれを適用可能とする前提は何か?
- 線型モデルの利点と欠点は?
- 応用において最優先なのは,統計モデルの記述力か,推定法か,あるいは?
- 心理学に求められるのはどんなモデルか?
第24回 2007-06-09
テーマディスカッション:「感情,感覚,意識」
感情について,特に感覚や意識との関係で議論します。もちろん,
これらの言葉は「専門用語として」扱います。
主な論点は,
- 感情,感覚,意識は,どういう関係にあって,どのように区別される
か?(これについてどのような立場があるか?)
- それぞれの違い(もしあるならば)によって,それぞれを調べる方法
にどのような原理的違いが生じるか?
- 上2点から考えて,実際に行われているこれらのvariationを調べる
数々の方法は,それぞれ理に適っているか?
盛り上がった点
- physical states と psychological states を区別する
- 無意識的な感情と感覚
- 自覚
- 感覚を同定する方法的枠組み
- 感情と感覚は何が異なるか。異質な現象か,新たなモダリティか
- 評価
第23回 2007-05-12
テーマディスカッション:「意味と指示」
意味(meaning)に関して,特に指示(reference)との関係について行われ
た仕事を勉強します。
対象となるのは,一つには,ミル,フレーゲ,ラッセル,ストローソン,
サール,クリプキなどの指示理論に関する仕事です。もう一つは,
これらの面々に加えて,タルスキやモンタギューなど,真理論,形式意味論に関する仕事です。
- シンボル,言語,表象などの認知理論に関して。
- 心理学も含む経験的学問における理論と世界との関係に関して。
勉強の結果をまとめる手がかり
- 固有名,自然種名,文,の意味(meaning)とは?
- 指示(reference)とは? それはどういう前提を必然的に伴うか?
- 指示と意味との関係(があるとすればどのような?)
- 真理(truth)とは? 意味と真理と指示の関係(があるとすればどんな?)
第22回 2007-04-07
テーマディスカッション:「発達研究とその方法」
発達研究の興味対象やその研究法についてどんなところが特徴的か?
「発達」をかなり広く取り,「経時的変化」に関するものとして議論を開始しましたが,
それではうまく行かないことが露見しました。
議論の手始めは
- 発達研究が調べようとしているのはどのようなものか? 研究対象についてどのような分類軸があるだろう?
- 発達研究がとる方法にはどのようなものがあるか? それらの方法はどのように整理できるか?
盛り上がった論点
- ワンポイントでも発達研究か
- デフォルト人間
- 「発達」は記述的に見えるが実は価値だ
- 安定性と能力
- 生得的かどうかを調べる
- 遺伝子本質主義
第21回 2007-03-10
テーマディスカッション:「認知と意識」 cognition and consciousness
- 認知とは何か(その外延あるいは内包は?)同様に,意識とは何か?
- 認知と意識の関係はどうなっているか?
- 認知はどのように調べることができるか?また,意識についてはどうか?
- 心理学史において認知や意識はどのような地位の変遷を辿ってきたか?
第20回 2007-02-17
テーマディスカッション:「尺度構成」 scaling
経験的心理学研究において基礎的な概念の1つ,「尺度」とその構成手法について議論します。
- 尺度とは何か?
- 尺度構成とは何か?尺度化とは?
- 測定と尺度との関係は?
- 心理尺度に特有な特徴は何か?
- 尺度構成の手法にはどのようなものがあるか?それぞれの利点や前提条件は?
- 尺度はどのように評価すべきか?
第19回 2007-01-20
年はじめ テーマディスカッション:「第一回 心理学とは何を目指す学問か」
混沌を真面目に抜け出す。
「心理学とは何か」という問いの最も重要な一部である「心理学とは何を目指す学問か」を議論。
履歴 2006
第18回 2006-12-09
テーマディスカッション:「脳と心理」
- 心理についての理論やモデルと脳の解剖学的,生理学的モデルは互いにどう関わるのか?
- 心理と脳に関係があるなら物理主義は必然なのか?
- 還元主義の「還元」とは?
- 心理学は脳神経科学に依存するのか?
- (認知)神経科学の隆盛によって認知心理学は消滅するのか?
第17回 2006-11-11
テーマディスカッション:「表象主義,計算主義,認知主義」
- 表象主義とは何か?計算主義とは何か?認知主義とは何か?
- これらはどう異なるか?
- これらは現在主流な心理学にどう影響をあたえているか?(どう組み込まれているか?)
- これらを前提する方法には具体的にどのようなものがあるか?(その○○主義の立場を取らない人にとっては意義が見えなくなる手法とは例えば?)
- あなたはこれらそれぞれについてコミットするかどうか
盛り上がった論点
- 表象の変形と変換
- 表象主義をimplyする計算主義と認知主義の関係
- 意識ありの認知,意識なしの認知
- 表象と因果,物理世界に志向性を書き込む
- 知覚,注意,記憶,心の理論,状況モデル!
- 知らない間にどっぷり浸かっている私たち
- 主観的体験の因果的効力
- 学習概念と記憶概念
- カップリングとデカップリング,表象と提示,対象-代用-使用者
第16回 2006-10-16
テーマディスカッション:「質的研究」 qualitative research
- 質的研究とは何か,どのように定義されるか
- 質的研究推進者が言うところの「量的研究」とは何か
- 質的研究の理論的・哲学的背景はどのようなものか
- 質的研究の旗印に好意的or否定的?
盛り上がった論点は,
- 質的研究の定義に最低限必要なのは,質的データ?フィールドワーク?参与?実践?哲学?
- 強い質的研究と弱い質的研究
- 個と一般,ローカルな一般化
- 原理的な不可能性と現実的方法上,倫理上の不可能性
- 質的研究は何か質の異なることをしているのか?それとも彼らが批判するものに含まれているのか?
- 研究の価値をどのように評価するか
第15回 2006-09-09
研究事例検討:「長期記憶と読解過程」
実際に行われている研究についてその目的と手法に関する(主に方法論的)前提を議論します。
対象の事例は,物語文章の読解過程と長期記憶の知覚的側面との関係を検討したものです。
盛り上がった論点は,
- 長期記憶はどう定義されるか,それはどこからどこまでを含むか
- 知覚的長期記憶とは何か,従来の記憶の分類とどのように交差するか
- 状況モデルは文章理解のモデルか?
- 活性化,負荷,処理などの汎用概念をどう捉えるか
- 反応時間(読解時間)はこのような研究において最適な指標なのか
第14回 2006-08-19
テーマディスカッション:「続 妥当性」
-
Borsboom D., Mellenbergh, G. J., and Van Heerden, J. (2004)
The Concept of Validity.
Psychological Review, Vol.111, No.4, 1061-1071.
- Messick, S. (1989) Validity.
In R. L. Linn (Ed.), Educational measurement (pp. 13-103).
Washington, DC: American Council on Education and National
Council on Measurement in Education.
- 平井洋子 (2006) 測定の妥当性からみた尺度構成─得点の解釈を保証で
きますか?
In 吉田寿夫(編) 心理学研究法の新しいかたち, 誠信書房.
overall quality!
第13回 2006-08-05
テーマディスカッション:「因果パターンの検証」
- Muller, D., Judd, C. M., and Yzerbyt, V. Y. (2005)
When moderation is mediated and mediation is moderated.
JPSP, Vol.89, No.6, 852-863.
- Spencer, S. J., Zanna, M. P., and Fong, G. T. (2005)
Establishing a causal chain: Why experiments are often more
effective than mediational analyses in examining psychological
processes.
JPSP, Vol.89, No.6, 845-851.
- 参考
- 三浦麻子 (2006) 因果関係をモデリングする―共分散構造分析.
In 吉田寿夫(編) 心理学研究法の新しいかたち, 誠信書房.
- 狩野裕 (2006) 心理・教育測定特論 講義資料 SEM.
キーポイント
- auto-regressionとマルコフ過程を忘れるな
- (素朴な意味では)因果関係は原因の時間的先行を要する
- 科学者に関心を持たれ同定が試みられるのは(時間的)斉一性を伴う関係性である
- molarな因果関係を主張する多くの場合,原因と結果の発生間の経過時間量は特定されない
- 原因や結果も定義上それ自体で時間経過を要する場合がある
- 因果連鎖には複数のpathwayがあり得る
- 非線形な因果関係の可能性
- mediatorの同一性,他のパスにおけるmoderationの排除,測定変数間の因果性と方向,の保証
- 3種類の方法以外に手はないのか?
第12回 2006-07-08
テーマディスカッション:「反証主義」 falsificationism
- 反証主義の概要
- 背景
- 反証主義への批判
- 現代心理学の反証主義的な部分とそうでない部分
第11回 2006-06-17
研究事例検討:情動表出の制御
実際に行われている研究についてその目的と手法に関する(主に方法論的)前提を議論します。
対象の事例は「情動表出の制御能力の発達」に関して検討したものです。
持ち越した議論は,
- "本来"の表出のかたちとは何か?どう定義し測定するのか?
- 能力が変化するのか?ルールが変化するのか?
第10回 2006-06-03
研究事例検討:心的帰属と共感
実際に行われている研究についてその目的と手法に関する(主に方法論的)前提を議論します。
対象の研究事例は「運動図形への心的状態の帰属と共感の関係について」。
テーマが心理学,心の哲学にとって根本的なものであるだけに,たくさんのポイントが隠れていそうです。
重要な議論がたくさん行われましたが,持ち越した議論は,
- 説明枠の違いをそのまま研究対象に取り込んでもよいのか?
- 2×2の基準はどう設定するのか?
第9回 2006-05-06
テーマディスカッション:「実証主義」 positivism
- 実証主義とは何か
- 歴史的位置付け。どのような背景があるか
- 心理学と実証主義。現在の心理学はどのように実証主義的であるか,また,あるべきか
次につながる話がたくさん出ました。"質的研究"についての議論は後に持ち越し。
第8回 2006-04-08
研究事例検討:感情とコミュニケーション
実際に行われている研究についてその目的と手法に関する(主に方法論的)前提を議論します。
対象の研究事例(野村さん提供)は「発話内容の感情価が顔面表出に及ぼす影響」に関するものです。
コミュニケーションと感情は,ともに非常に深い方法論的議論ができるテーマ。
唸る人が続出。
第7回 2006-03-17
テーマディスカッション:「心の哲学」の諸議論 Part.3
「周りの心理学者たちはどう考えているか(記述)」だけでなく,
今回は「どう考えるべきか(規範)」
についても議論しました。
第6回 2006-02-15
テーマディスカッション:「心の哲学」の諸議論 Part.2
履歴 2005
第5回 2005-12-23
テーマディスカッション:「心の哲学」の諸議論 Part.1
- 心身二元論
- 唯物論
- 唯心論
- 行動主義
- 心脳同一説
- 機能主義
上記の各説について,
- それはどういうものか?
- それぞれの間の関係はどうなっているか?
- どういう反論があるか?
- 現代の心理学者はどれに対してどう考えているか?
を議論する。
Quasi-Experimentation 読書会 2005-08-09, 2005-08-17, 2005-09-27
第4回 2005-07-16
テーマディスカッション:「測定と信頼性」 measurement and reliability
第4回 個人的まとめ
第3回 2005-06-11
テーマディスカッション:「操作と統制」 manipulation and control
- なぜ実験をすることが必要なのか?
生態学的妥当性の点で問題があるのに,それでも実験をするのはなぜ? ってゆーか,しなくてよい?
- quasi-experiment とはいったい何だろうか?
なにが quasi なの? それって良いこと?悪いこと?
- 実験操作や統制はどれくらい重要?その理由は?
この研究テーマじゃ操作とか統制とかできないんだから・・・って弁解してOK?
- 無作為抽出 random sampling って絶対必要なの?
私の研究って無作為抽出してないんけど,ダメ?
このようなFAQに答えるために,以下の問いを考えてみましょう。
- 操作とは何か?統制とは何か?これらはどう異なるか?
- なぜ操作する必要があるか?それはどんな場合か?どんな利点があるか?
- 操作することの欠点とは何か?
- なぜ統制する必要があるか?統制が必要になるのはどんな場合か?
- 統制することに欠点はあるか?あるとすれば何か?
- 完全な操作は可能か?完全な統制は可能か?
- 統制のための代表的なテクニックにはどんなものがある?
- 操作チェックmanipulation checkとは?
- 実験計画とは何だろうか?何のためのもの?
- 無作為化とはいったいどういうこと?
第3回 個人的まとめ
第2回 2005-05-14
テーマディスカッション:「変数」 variable
- 変数とは何か?
- 変数という概念を用いるとどのようなことが分析でき,理解できるか?
- 変数という概念を用いるときに必要な条件は何か?
- 変数という概念を用いない分析は可能か?可能だとすればどのような仕方があるか?
- 変数とその関係性でもって「分析」するとはどういうことか?
各種の変数概念の意味とそれらの違いや相互関係
独立変数,従属変数,原因変数,結果変数,説明変数,被説明変数,目的変数,基準変数,予測変数,
共変数,剰余変数,交絡変数,干渉変数,二次的変数,第三変数,調整変数,媒介変数,
外生変数,内生変数,潜在変数,観測変数,指標変数,
確率変数,連続変数,離散変数,量的変数,質的変数,誤差変数,変量,ダミー変数 etc...
ここがポイント!
- 独立/従属変数と原因/結果変数の区別
- 説明変数,予測変数,原因変数の区別
- 剰余変数,交絡変数,干渉変数の区別
- 調整変数と媒介変数の区別
- 観測変数と潜在変数の関係
- 連続変数と離散変数の差異
- ダミー変数の意味
第2回 個人的まとめ
第1回 2005-04-26
イントロダクション
- なぜ方法を問うか
- 何が問われるべきか
- 知りたいものでなく知る必要があるものとは何か
- どうして我々がすべきなのか
- 現状はどのようか
- いまさら方法を問うとはどういうことか
- 研究の目標を見よう
当面は勉強会風に進めること,
進め方は「毎回のテーマについて調べてきてディスカッションする」に決まりました。
「研究報告(論文,書籍,学会発表,ゼミ発表)を批評する」
「輪読会」
はとりあえず先送りです。
参考文献
-
Experimental and Quasi-Experimental Designs for Generalized Causal Inference
William R. Shadish, Thomas D. Cook, Donald T. Campbell
Houghton Mifflin Company.
ISBN:0395615569
(2nd Paperback)
-
Quasi-Experimentation: Design and Analysis Issues for Field Settings
Thomas D. Cook, Donald T. Campbell
Houghton Mifflin Company.
ISBN:0395307902
(Paperback)
-
医学・教育学・心理学にみられる統計的検定の誤用と弊害
橘敏明
医療図書出版社
-
実践としての統計学
佐伯胖, 松原望 (編)
東京大学出版会
ISBN:4130420704
-
Methods toward a Science of Behavior and Experience
William J. Ray
Brooks/Cole Publishing Company.
ISBN:0534203469
(5th Hardcover)
-
心理学の哲学
渡辺恒夫, 村田純一, 高橋澪子 (編)
北大路書房
ISBN:4762822574
-
心理学研究法―心を見つめる科学のまなざし
高野陽太郎, 岡隆 (編)
有斐閣
ISBN:4641122148
-
How to Think Straight About Psychology
Keith E. Stanovich
Allyn & Bacon.
ISBN:0205360939
(7th Paperback)
-
心理統計学の基礎―統合的理解のために
南風原朝和
有斐閣
ISBN:4641121605
-
Modern Statistics for the Life Sciences
Alan Grafen, Rosie Hails
Oxford University Press.
ISBN:0199252319
(Paperback)
-
Statistics
William L. Hays
Wadsworth Publishing.
ISBN:0030744679
(5th Hardcover)
-
Experimental Design: Procedures for the Behavioral Sciences
Roger E. Kirk
Wadsworth Publishing.
ISBN:0534250920
(3rd Hardcover)
-
心理学研究法入門―調査・実験から実践まで
南風原朝和, 下山晴彦, 市川伸一 (編)
東京大学出版会
ISBN:4130120352
-
岩波講座 認知科学 1 認知科学の基礎
橋田浩一, 安西祐一郎, 波多野誼余夫, 田中啓治, 郡司隆男, 中島秀之
岩波書店
ISBN:4000106112
-
計量心理学―心の科学的表現をめざして
岡本安晴
培風館
ISBN:4563058939
-
共分散構造分析 理論編 ―構造方程式モデリング―
豊田秀樹
朝倉書店
ISBN:4254126964
副読本
名言集。(迷言集?)
「自分たちのやり方がどれだけ縛られているかを見直すんですよ。
方法論上の概念を追っていって一つ一つ,ほらね,って例証していくんです。」
「こんなやり方じゃダメだからやめてしまえ,もっと別の新しい方法を使え,って?」
「そうじゃないです。これまでの方法を使うのは別に構わないけど,
その縛りに対して自覚がないのがダメだと言っているんですよ。」
「わかっていながらあえて受け入れるなら好きにすればいいってことか。」
「方法によって制約をうけることを念頭に置いていないから,
とんでもない主張を繰り出してても平気な顔をしてるし,困ったことに周りもそれを見過ごしている。」
「神様でもいいですよ」
「還元できるけど還元しない」
「そうすると僕は心理学者じゃないかもしれませんね」
「まあそれはどうでもいいよね」